スマホでニュース記事を読んでいると、画面の上に「https://~」という見慣れない文字列がずっと表示されています。
これ、ずっと気になっていたけれど、正直よくわからない。
学校では教えてくれなかったし、周りの人にも聞きづらい。
でも、ある日ふと思ったんです。
「このアルファベットの並びが“読めるようになったら”、もっと安心してネットを使えるようになるんじゃないかな」って。
そんなあなたに向けて、この記事では**「ドメイン」と「DNS(ディーエヌエス)」という2つのキーワードを、“ネットの住所”と“電話帳”**にたとえて、まったくの初心者でもすっと理解できるように説明していきます。
ひとつずつ、一緒にひも解いていきましょう。
第1章|ドメインとは?

1-1 ネット上の“住所札”を開いてみよう
突然ですが、あなたは引っ越したとき、自分の「住所」を覚えましたよね。
県名、市町村名、番地、そして建物の名前や部屋番号まで──それがなければ、郵便物も届きません。
実はインターネットの世界にも、それとそっくりな“住所”が存在するのです。
それが「ドメイン」です。
たとえば、あるWebサイトのURL(ユーアールエル)が
https://example.com
だとします。
この中で、「example.com」の部分がドメイン名と呼ばれるものです。
では、この“住所札”の中身を少しずつ見ていきましょう。
● 「.com」は“町名”のようなもの
まず、最後についている「.com」。
これは「トップレベルドメイン」といって、いわば“町名”のような役割を持っています。
「.com」は、もともと“商業(commercial)”の略ですが、今では誰でも使える代表的なドメインのひとつです。
他にも「.jp」(日本)や「.org」(団体)、「.blog」(ブログ用)など、さまざまな種類があります。
● 「example」はその家の“名前”
次に、「example」の部分。これは「第2レベルドメイン」と呼ばれ、名前の部分です。
企業名やサービス名、あるいは個人のニックネームなど、自由に決めることができます。
たとえば、もし「example」という名前でブログを始めるなら、
「example.com」「example.jp」など、自分だけの“住所札”を作ることができるのです。
● 「www」は“部屋番号”のような存在
よく見かける「www」も、実は「サブドメイン」といって、元のドメインにくっつけられる“部屋番号”のようなもの。
「event.●●.com」や「mail.●●.com」など、用途に応じて複数作ることができます。
ちなみに「www」は、Webサイト用に昔から使われている“慣習的な記号”で、つけてもつけなくても大丈夫です。
1-2 ドメインを持つと起こる3つの“いいこと”
では、この「ドメイン」を自分で持つと、どんな良いことがあるのでしょうか?
ちょっとワクワクする“3つの特典”を紹介します。
① 自分専用のサイトが作れる
たとえば、あなたの考えを発信するブログや、作品を公開するポートフォリオ。
「example-art.com」や「myjournal.net」のように、**世界でひとつだけの“Webの住所”**を持つことで、そこに訪れた人たちはあなただけの世界を体験できます。
② オリジナルのメールアドレスが持てる
学校でよく使うフリーメール(たとえば「×××@gmail.com」)ではなく、
「hello@example.com」のように、自分の名前が入ったメールアドレスも作れます。
これは就活や問い合わせ用としても信頼感がありますし、“ちゃんとしてる人”という印象を相手に与えることができます。
③ 覚えてもらいやすく、信頼につながる
SNSのURLや名刺に載せたとき、短くてわかりやすいURLはとても印象に残ります。
また、ドメイン名に自分の名前や活動内容が含まれていれば、相手も「この人、ちゃんと自分のサイトを持っているんだな」と自然に信頼を寄せてくれるでしょう。
ちなみに、こうした「自分で好きな文字列を決めて取得したもの」を独自ドメインと呼びます。
たとえば example.com
のように、自分の名前やブランドに合わせた“住所”を自由に持てるのが魅力です。
一方で、無料のブログサービスなどで提供される「example.freeblog123.com」や「freeblog123.com/example」といった形式もよく見かけますよね。
これらは、サービス側が管理しているドメインの中に間借りしている形で、正確には「そのサービスのサブドメイン」や「サブディレクトリ」として提供されています。
少しややこしいかもしれませんが、サブドメイン自体は、本来「自分が所有している独自ドメインの中に自由に作れる拡張アドレス」です。
たとえば、example.com
という独自ドメインを持っていれば、blog.example.com
やshop.example.com
といった形で、自分の好きな用途ごとにサブドメインを作ることができます。これは借り物ではなく、自分で持っているドメインの一部です。
🔹 例:
- 独自ドメイン →
example.com
(自分で取得し管理しているもの) - 自分が作ったサブドメイン →
blog.example.com
(独自ドメインの中で自由に設定) - サービス提供のサブドメイン →
example.freeblog123.com
(サービス側が管理)
つまり、自分の家を持って好きに部屋を増やせるのか、それとも誰かの家に一室を借りているのか──そんな違いがここにはあります。
1-3 3ステップで取れる!“住所登録”超入門
「でもドメインって、手続きが難しいんでしょ?」
そう思っている人は意外と多いのですが、実はとてもカンタン。
スマホひとつで10分あれば申し込めます。
ステップ①|文字列を決める
まずは、自分の好きな名前を考えます。
ブランド名、ニックネーム、事業名、なんでもOK。
ただし、他の誰かがすでに使っていると申し込めないので、空き状況を確認しましょう。
ステップ②|「.com」などの種類を選ぶ
次に、どんな“町”に住みたいかを選びます。
「.com」は最もよく使われていて人気がありますが、他にも「.jp」「.net」「.blog」「.site」など、多くの選択肢があります。
ステップ③|申込みボタンで完了
最後に、名前・住所などを入力して決済するだけで完了です。
※身元確認のために、メールや電話での認証がある場合もあります。
ちなみに、こうしたドメインの申込みは「レジストラ」と呼ばれる業者が取り扱っています。
そして、それを一括で管理する機関が「レジストリ」。
いわば、レジストラ=窓口、レジストリ=役所、というイメージです。
「ドメイン」とは、ネットの世界にあなたの“表札”を立てること。
どんな名前にしよう?どこに住もう?という感覚で、もっと自由に、もっと楽しく“Webの第一歩”を踏み出してみてください。
第2章|DNSとは?

2-1 電話帳ロボット“DNS”の正体
前の章で、「ドメイン」はインターネット上の住所にあたる、と説明しました。
でも、その“住所札”だけでは、まだサイトにたどり着くことはできません。
なぜなら、パソコンやスマートフォンなどの機械たちは、人間と違って「文字」ではなく「数字」でやり取りしているからです。
● IPアドレスって何?
たとえば、あなたが「https://example.com」というサイトを見たいとします。
でも実は、そのサイトが実際に置かれているサーバー(データを保管しているコンピュータ)は、
「192.0.2.1」といった**IPアドレス(アイピー・アドレス)**という数字の住所を持っているのです。
IPアドレスとは、**インターネットの世界でコンピュータ同士が通信するための“番号”**のようなもの。
電話番号や郵便番号に近いイメージです。
● DNSが「名前から番号を引く」
ここで登場するのが、「DNS(ディー・エヌ・エス)」という仕組みです。
これは「Domain Name System(ドメイン・ネーム・システム)」の略称。
DNSは簡単にいうと、**“ネット上の電話帳”**のようなものです。
あなたが「example.com」と入力したとき、DNSがその名前を見て、
「それは192.0.2.1のことですね!」と、正しいIPアドレスを探して返してくれます。
つまり、DNSは名前(ドメイン名)を番号(IPアドレス)に変換する役目を持っています。
これを「名前解決」といいます。
● 先生が名簿をめくって席を教えてくれるような…
イメージとしては、学校の先生がクラス名簿をパラパラめくって、
「“佐藤くん”の席は3列目の一番後ろよ」と教えてくれる感じです。
名前(ドメイン)から番号(IP)を調べてもらい、やっと“そこ”にたどり着ける。
それがDNSの正体です。
● キャッシュがあるから早くつながる
一度見たことのあるサイトには、もう一度見るときにすばやくつながることがあります。
これには「キャッシュ」と呼ばれる仕組みが関係しています。
キャッシュとは、“前に見たデータのメモ書き”のこと。
DNSは、以前変換した名前と番号の情報を一時的に記憶しておいて、
同じ情報をもう一度問い合わせられたときには、「あ、それね」とすぐに返してくれます。
このおかげで、何度も同じ電話帳を引き直す必要がなくなり、スムーズにサイトへアクセスできるのです。
2-2 “家の表札”が街に広まるまでを追体験
さて、ここからは実際にあなたがドメインを取得し、
その住所を使って「ホームページ」を公開するまでの流れを、**“追体験ストーリー”**として見ていきましょう。
【ステップ1】「住所札」を手に入れる
これは第1章でご紹介した通り。
好きな文字列と「.com」などの種類を組み合わせて、自分だけのドメインを取得します。
たとえば example.com
という感じですね。
【ステップ2】「土地」を借りる(=サーバー)
Webサイトのデータを置くには、「レンタルサーバー」と呼ばれるインターネット上の土地が必要になります。
これは、あなたのページや画像などを置く土地(保管場所)みたいなもの。
ドメインが住所、サーバーが土地(保管場所)──この組み合わせが基本です。
【ステップ3】「ネームサーバー」で住所と土地をつなげる
ここが一番大事なところです。
ドメインとサーバーをひもづけるためには、「ネームサーバー」という設定が必要になります。
これは、「この住所札(ドメイン)は、こっちの土地(サーバー)ですよ」と、
DNSに正しく伝えるための作業です。
まるで役所に「この建物はこの番地です」と登録するようなものですね。
【ステップ4】「街中の地図」に広まるまで、ちょっと待つ
ネームサーバーの設定が完了しても、すぐに全世界に反映されるわけではありません。
DNSの情報は、世界中の何万台ものサーバーに順番に伝わっていく必要があります。
これを「DNSの伝播(でんぱ)」といいます。
“雨の日の宅配便”と同じでちょっと時間がかかる
伝播には早ければ数時間、遅ければ最大48時間ほどかかることもあります。
なぜなら、DNSサーバーは“メモ”として前の情報を一時的に持っていて、
そのメモが期限切れになるまで、新しい情報に更新されないことがあるからです。
これはちょうど、雨の日の宅配便が「仕分けセンター → 地元営業所 → 自宅」というルートで届くように、
ネット上でも住所情報が“少しずつ広がっていく”のと同じです。
DNSがなかったらどうなるの?
仮にDNSがなかったら、私たちは毎回「192.0.2.1」みたいな数字の羅列を覚えてサイトにアクセスしなければなりません。
それはまるで、友達の名前をすべて“電話番号”で覚えようとするようなもの。
……うーん、現実的じゃないですよね。
だからこそDNSは、今のインターネットにとって「なくてはならない存在」なのです。
この章のまとめ
ドメインが“住所札”なら、DNSは“地図係のロボット”みたいな存在。
あなたがどこに行きたいかを読み取り、すばやく最短ルートを教えてくれる頼もしいパートナーです。
今後、サイトを作ったり、メールを送ったりするときにも、この「DNS」という仕組みは必ず関わってきます。
「よくわからないけど、そういうものがあるらしい」ではなく、
「DNSってあの“電話帳ロボット”のことだよね」──
そんなふうに、親しみを持って理解してもらえたら嬉しいです。
まとめ|「ドメインとDNS」は“住所と電話帳”
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
少しでも、「あ、なんとなくわかったかも」と思っていただけたなら、この記事の役割は果たせたと思います。
最後に、今回のポイントをぎゅっと2行で振り返りましょう。
✅ ドメインは、インターネット上の“住所”のようなもの。
✅ **DNS(ディー・エヌ・エス)**は、その住所を探すための“電話帳+地図ロボット”。
この2つの言葉さえ覚えておけば、今後、Webサイトのしくみやメールの送受信についても、ずっと理解しやすくなります。
今や、SNSもブログもネットサービスも、「自分の場所を持つ時代」。
もしあなたがこれから何かを発信したいと思っているなら、「ドメインを取ってみる」ことが、その第一歩になるかもしれません。
「最初の一歩がいちばん怖いけど、踏み出してみたら意外と楽しい」──
そんな気持ちを、この記事で少しでも後押しできていたら嬉しいです。
用語ミニまとめ(おさらい用)
用語 | やさしい説明 |
---|---|
ドメイン | ネット上の住所札(例:example.com) |
IPアドレス | 機械用の数字の住所(例:192.0.2.1) |
URL | 住所+案内図(例:https://example.com/page) |
DNS | 名前から住所を探してくれる電話帳システム |
ネームサーバー | ドメインとサーバーをつなぐ“名簿登録”の役割 |
キャッシュ | 一度調べた情報を覚えておくメモ機能 |
免責事項
本記事は、インターネットにおけるドメインおよびDNSの基本的な仕組みを、初学者向けにわかりやすく解説することを目的として作成された一般情報コンテンツです。
記事内の内容は、執筆時点での公開情報に基づき整理されていますが、正確性・最新性を完全に保証するものではありません。
また、本文中における用語や概念の説明は、あくまで初心者の理解を助けるために比喩や簡略化を用いた表現を含んでいます。実務上の正確な技術仕様や契約内容等については、各ドメイン登録事業者や専門機関の公式情報をご確認ください。
本記事の内容に基づいて行われた行動によって生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。
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